「この先もう二度と、海に入ることはないだろう。。。」
最近までそう思いながら過ごしていました。
初めまして。梅津絵里と申します。
私は今から11年前に持病の膠原病が悪化し、運動機能などに障がいが生じて全介助を必要とする植物状態になり、6年間入院生活をしていました。
その間、何度も生死を彷徨い危ない状況でしたが、懸命な治療とリハビリの結果、寝たきりから車イス生活になり、5年前にようやく退院することができました。障害も残り、病気は完治しませんが、最近は体調も落ち着いてきているので、社会
や人に目を向けて少しずついろんな活動をし始めて います。
そんな私がつい最近、新たなことへトライ!
ずっと心の奥に潜めていた想いを果たしに念願の海へ。
障がいを抱えている人を対象に、海に入れるサポートをしているボランティアチーム『SurfClassic』の活動の様子をSNSで目にし、衝撃を受けたのがきっかけでした。
そこには義足の方や車イスの方が海に入り、にこやかに記念撮影している様子が映っていたのです。
病気をする前の私は健康そのもので、仕事終わりや毎週末、夫や仲間と一緒にサーフィンを楽しむ
アクティブな生活を送っていました。
あまり上手くはないけれど定期的に大会に出場したり、長い休みには、より良い波を求めてショートトリップをするなど、それなりに充実したサーフィンライフでした。
波がない時は、分かっていてもじっとしていられず、いつもの海に行っては、じっとしていられない
サーフィンをこよなく愛する仲間たちと語らい、笑う。
波乗り以外のそういったみんなとの穏やかな時間も大好きで、それもまた楽しみの一つでした。
この楽しい日々がずっと続くと思っていた20代半ばの私。
急に病気が発覚して、もう海に入ることができない現実に打ちひしがれて諦めるしかありませんでした。
そんなこともあり、SurfClassicの活動を知った時の喜びは大きく、私の諦めていた海への情熱に再び火が点いたのです。
「障がいがあっても海に入れるんだ!」
新たな希望に胸を踊らせ、ようやく今年の夏に海に行くことができました。
倒れてから約11年ぶりの海•••
その日の海は、果てしなく真っ青な空とメローな波で、久しぶりの私を優しく迎えてくれました。
そんな海を目の前に、逸る気持ちを抑えきれず、早く沖に出たくて、気が付いたらボードに乗せてもらうと同時にパドルを始めていました。
以前とは違い思うように体は動かしにくいのですが、昔の感覚が残っていて、自力でパドルをしながら沖を目指していることに嬉しく思いました。
いよいよ波に乗る瞬間。後ろからサポートしてもらいながらのロングライド。
ここ何年かで、最も気持ちの良い瞬間です!
風を感じ、波と、自然と一体化する爽快感。たまらない••••
もう無我夢中で、何度も繰り返し波と戯れました。
それからもう一つ。
今回私は海に入るにあたり、ある目的を達成したいと願っていました。
それは沖からの風景を見ること。
どこまでも続く海岸線が目の前に広がり、地球の雄大さと景色に圧倒される。
波に乗ることに魅了された人にしか見ることができない風景。
なんて贅沢な風景なんだろう。
その景色をもう一度、どうしても見たかったのです。しかもボードに立って!
実際今の私にとって不安定な波の上に立つというのは本当に大変なことでした。
しかしそこはSurfClassicのメンバーの方々の強力なサポートのおかげで、足元がおぼつかないながらも、なんとかボードの上に立つことができました。
立って前を見た時、沖からの風景が目に前に飛び込んできました。
一瞬だけ時が止まり、興奮で胸が高鳴りました。
「ずっとこの風景が見たかったんだ。。。」
今までの病気の辛さや悔しさ、悲しさとか、
色んなことの感情が一気に吹き飛んで、モヤモヤした気持ちから解放された瞬間でもありました。
一歩前に踏み出せた気がしました。
そんなことを思うと自然と涙がこみ上げてきました。
一度は諦めてしまったサーフィン。忘れたくても忘れられなかった海への想い。
今回、たくさんの方の協力のおかげで、こうしてまた海に戻ってくることができました。
その夢が叶って本当に嬉しいです。
大切なのは、強い想いと少しの可能性があるなら諦める必要はないということを、海を通じて教えられたような気がします。
人生をどうメイクしていくかは自分次第で、どんな波でも乗りこなせる人生を歩みたく思います。
最後に、障がいのある人と海を共に楽しむことを大切にしているSurfClassicの皆さんに改めて感謝いたします。最高に楽しくリラックスできました。
素晴らしくパーフェクトな1日をありがとうございました!!!
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